2019.12.7

2019年12月7日。あの日から17日も経ってしまった。

夏にYour Nameのオープンバンドの募集が急に始まって急に終わった。周りのNOT WONK好きな友達、ましてやメンバーにも何も言わずに加藤くんにメールしてみた。数日後本当に返事が来て実感のないふわふわしたものに覆われたのを今も覚えてる。もりかずと龍はいつかのBASEMENT BARとTHREEで開催してたオールナイトイベントに連れて行って共にNOT WONKを見たし、みずやんはずっと北海道に行きたいと言ってたし大丈夫やろう。俺がどれだけ話すよりも現地に行って体感した方が何もかも早い。こういうのは。日は変わって見放題のライブ直前、「12月に北海道 苫小牧ELLCUBEである得体の知れないイベントに出ること決まったわ。NOT WONKのな。よろしく。」とメンバーに言ったら爆笑された。良かった。俺ら以外にもオープンバンドに出てた人たちはこんな感じで決まったの、多いんやろうな。色々読んでて笑った。加藤くんのYour Name開催表明文にあった「バンドはタイミングと瞬発力だと思っている。」という言葉。それを見て集まった総勢24組のバンド。1/24の俺たち。そういう数字の一部になりたくないと思っているやつら。だからといってみんなで作り上げる一日っていう仲間意識なんてない。

ここ数日の中で一番早い起床時間、札幌市を出て鈍行電車に乗りゆっくりと向かう。1時間半かけて辿り着いた苫小牧は何もなく、背の低い建物ばかりで空がバカでかい。NOT WONKのOf Realityのミュージックビデオにある煙突と煙。まじで苫小牧まできた。俺らと同じくELLCUBEに向かうであろうピンピンなモヒカン頭のパンクスの後を追って無事到着。やっと顔を合わせて話せた加藤くんはフランクという文字があまりにも似合いすぎるほどにフランクだった。日本のフランク代表だ。今までライブハウスで死ぬほど緊張して話しかけれず仕舞いの俺はなんやったんや。ライブの流れの説明を受けて準備していたらあっという間にオープン。土曜の真昼間からフロアには沢山のお客さん。絶え間なくライブが続いていった。一瞬の出来事の連続。かつて難波ROCKETSで行われていたミナミホイールへのカウンターイベント「F.M.W」に近い雰囲気?いや、あれよりももっと何かの純度が高い。透き通っている。でも全感覚祭ばりに混沌としている。ゴリゴリのパンクが終わったと思いきや次に始まるバンドは俺の思うまさに北海道なファズの地鳴りと擦り切れた歌声。その次に演奏したHue'sのSwan。俺らが終えたあとにももちろん次のバンドが間髪入れずに始まって、終わっていく。機材を片付けて一息つく。その間もオープンバンドの演奏はひたすらに鳴っている。ELLCUBEという一つの場所で色んな時間の流れ方があって俺の脳はもう追いついていなかった。オープンバンドの演奏が全て終わって煙草を吸いに外に出たら日が落ちていて雪が降ってる。NOT WONKまで1時間ほどある。ビールを飲みながらホールで加藤くんが選曲したであろうBGMに意識を委ねながらジッと待っていた。不思議と誰とも話したくなかったな。あの時間。ふわふわした感覚のまま始まったNOT WONKのライブ。マックスボルテージとアダルトな音の隙間を行き交う。この目で見ていたけれど全然追いきれない。とにかく圧倒的で力強く優しかった。丸二時間のライブを見終わって、何も言葉が出てこなかった。そして日が経った今も上手く何にもいえない。かっこいい、悔しい、敵わない、どれもしっくりこない。そもそも言葉に昇華しようと試みているこれ自体が違うのかもしれない。苫小牧でバカでかく得体の知れない何かを喰らってから心身共に変な感じ。いつもと変わらずただ一つの記録としてここに書いておく。

 

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