2019.7.26〜28

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日付が26日になって1時半くらいに家を出て、苗場に着いたのは11時過ぎかな。大体10時間くらい。遠かった。下調べしたり周りのフジロッカーに色々聞いてはいたけど想像がつかん初めてのフジロック。終わって1週間経つけど今も心は苗場にいます。最高に楽しかった。

 

1日目

着いてまず最初にキャンプサイトへ。例年以上にキャンパーが多かったらしく平地はほとんど埋まってる。キャンプサイト の入り口から15分くらい急斜面の芝生を登ってほぼ頂上の位置にテントを組み上げた。テント、椅子、寝袋、ランプ、着替えを持って登るのは中々過酷。でもその疲れが吹っ飛ぶくらいにいい景色で風も抜ける。

これから三日間の寝床を作ってからいよいよ入場ゲートへ。ちなみにキャンプサイトから入場ゲートまでは歩いて10分弱くらいかな。入ってから苗場食堂でとろろご飯に漬物を乗っけて醤油をかけて食べた。この日最初のご飯。めちゃくちゃ優しい味。食べながら一番でかいGREEN STAGEを通り過ぎてWHITE STAGEまで。この時GREENではROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRAがやってた。誰やろ、知らんなぁって思いつつモニター見てみたら大御所ばかり。ルースターズのメンバーにdipヤマジさん、魚さん...その他多数...。グリーンを通り越す直前にはルースターズの曲をやってたよ。フジロックすごい。

苗場食堂からこれまた10分弱歩いてようやくたどり着いたWHITE STAGE。最初の目当てのKing Gizzard&The Lizard Wizardが始まったところ。このバンドは高校の同級生 濱野に教えてもらって、色々聴いてはいたものの謎が多い。一応サイケに分類はされているみたいやけど最近リリースされてる曲はハードロックというかメタルやしアルバムごとにキャラ違いすぎるし、2017年だけで5枚もアルバム出してる。わけがわからん。濱野に「最近のライブはどのモードでやってんの?」って聞いたら「知らん。俺も分からん。」と。で、いざ目の当たりにしたキングギザードは超ハードロックでした。ふざけることに徹したアイアンメイデンみたいな。ドラムは2人いるけど別々のプレイをするわけでもなくずっと同じフレーズ叩いてるし、ギターは3人(多分)いたけどハモるわけでもなくユニゾンで精神崩壊しそうなソロを弾き続けてる。歌はバイキングメタルとLAメタルを足して二で割った雰囲気。まじでカオス。俺の好きなやつ。At The Drive-Inに近い何かを感じつつ...。情報量の多さを飲み込めないままライブは終わった。もちろんハマった。昨日CD買ってちゃんと聴いてみたらちょっとRob CrowのHeavy vegetableっぽさがあるなと思いました。だから聴けちゃうし好きなんやなと納得。まぁなによりも謎編成の謎曲を全力でやってる様が一番好き...。キングギザードはこんな感じ。最初に見たバンドから濃すぎ。ちなみにオーストラリアのバンドでした。

次に見たのはRopesかな。それまで時間が結構あったのでぶらぶらしてみた。とにかくフジは会場がめちゃくちゃ広い。椅子を持っていけと皆言ってた意味が分かった。Ropesがやっていたのは木道亭。ホワイトからFIELD OF HEAVENを繋いだボードウォーク(木の板で作られた通路)の途中にあった。木々が立つ中ポツンと現れる小さな木の小屋。リハの時点でもう溶けたよ。森の中にアチコさんの声が溶けたりトディの音が無限に広がったり。ロケーションの良さや疲れで意識がふらふらしていたので今のうちに水を買っておこうとヘブンまで歩いたら何かの渋滞に巻き込まれて結局Ropesは最後の2曲くらいしか見れなかった...。それでも十分なくらい気持ちよかった。鳴るべき場所で鳴ってるなって。

次はorange cafe(ステージ)でCINNAMON。ツェッペリンの本気コピーバンド。使ってる機材がほとんど同じらしい。一緒に行った人が中々なツェッペリン好きで、似てる?って聞いてみたら「ギターは頑張ってるけどドラムが...。ボーカルも声ちょっと高くてちゃう。」と厳しい感想を。そうみたいです。笑った。その後ヘブンで人生初ラムココアを飲む。美味しすぎた。ラムを知る。

この辺りから雨が結構降ったはず。CINNAMONを半分ほど見てから一番でかいグリーンまでELLEGARDENを見に。エルレ、中高の時ハマった人が沢山いると思う。例に漏れず俺もそうやった。だからといって深い思い出が特別あるわけでもなく、そんな感じで後ろの方で見ていたんですが想像以上に感動してしまったよ。なんせやった曲がもうベスト盤みたいな流れで不意打ちの連続。心空っぽになってしまった。最前列から一番後ろの森まで人がみっちりいて皆泣いたり笑ったり飛び跳ねたり、すごい光景でした。(三日間の中で人の数や濃さはエルレが一番だったと思う)。あの時のあの曲たちがそのまま演奏されたらそらグッと来ちゃうか。最高でした。

そのあとは流れるようにホワイトでTYCHOを。空っぽになった心を雨とTYCHOの優しく柔らかい音がスーッと埋めていく。美しいとはこのことかってくらいに、なにもかも完璧。事前に聴いてもなかったけど素晴らしかった。エルレ前後は疲れ果てて眠かったけどTYCHOで浄化できたのでそのままホワイトでトムヨークを見た。トムのソロ作は世界観が確立しすぎててよくわからんけど目の当たりにしたかったので。まじでいた。トムヨーク。超ご機嫌なおじいちゃん。ベースが超上手い。挙動がずっと不審。

トムヨーク途中でもう疲れ果てちゃったので一度駐車場まで戻って(20分くらい歩く)荷物を整理しキャンプサイト(駐車場からテントまで20分) へ。この時が体力的に一番キツかったかな。雨の中、中継地点のオアシスエリアで台湾ルーロー飯食べてテントまで歩きつける体力を取り戻す。シャワーを浴びる体力は残されてなかったので歯だけ磨いて暗闇で泥濘みまくったキャンプサイト内を迷子になりつつようやくうちのテントに辿り着いてからはすぐ寝た。(簡易シャワー前で降りしきる雨の中、歯を磨く人たちの顔は皆死んでいて中々にシュールな光景やった。全員OK Conputerみたいな顔。)

 

2日目

10時過ぎに酷い暑さで起きる。テントのカーテンを開けたら風がビュービュー抜けてめちゃくちゃ気持ちいい。カラッとした快晴。頂上の素晴らしさ。微かに聴こえるレッドマーキーの音。あまりの心地よさに二度寝してしまいGEZANに遅刻した。ホワイトに着いた時にはもうBODY ODD。割とスカスカだったので前の方で見た。BODY ODDとDNAしか見れんかったけどその二曲で十分なくらいの衝撃が沢山あった。三日間の中でGEZANの音が一番良くてかっこよかったり、仕組みのわからない音を出してたり、いつのまにかまた凄いことになってたGEZAN。起きて最初に見るにしては重すぎるパンチ。安っぽい言い方になるけど本当に感動した。

脳震盪に近い余韻を残しつつホワイト近くのハイジカレーで全部乗せカレー買って川縁で朝ご飯。あまりに気持ちよすぎる空間。フジはとにかくご飯がどれも美味しい。腹ごしらえを済ませて一度車に戻って風呂に入りに行こうとするも清掃終了後の苗場温泉が長蛇の列で断念。2日目も風呂に入らず。あらゆる諦めと段取りがキモだということに気づき、残り半日と明日を万全の状態で遊べるように車とテントと手荷物を整理。今夜くると思われる台風に備えてテントのペグを補強。キャンプサイトからレッドマーキーに繋がるルートがあることに気づきそっちから入場してみる。昨夜の酷い雨で泥濘みまみれ。ショートカットは出来るものの道として機能していなかった。DYGLの音漏れを聴きながら移動。また雨が降り始める。腹が減りまくっていたのでここでまた食べたはず。グリーンのアジカン見ながら。

レッドに戻ってALVVAYSを少し見てからホワイトのクラムボンへ。雨は強まるばかり。俺が好きなだけ飲めるのはこの日だけなのでヘブンに移動してホットココアラムを飲んだりしてた。暖かい飲み物で暖を取りたくなるくらい肌寒い。この時点でTシャツ、マウンテンパーカー、カッパ、ジーパン、長靴全部が浸水していたと思う。American Footballが始まる10分前くらいにホワイトへ戻ってギネス飲もうとしたら売り切れてた。切ない。ので適当にクラフトビール買ってみたけど芳香剤の香り...。ビールはギネスかラガーやな。

待ちに待ったアメフト、雨が小降りになって雰囲気がめちゃくちゃ合うしやっぱりホワイトの音が良い。好きな鳴り方。夏の夜静かに聴くのが気持ちいいのは知ってたけどあんなにも雨が合うとは。アメフト。一番新しいアルバムはまだ聴いてなかったけど1stからも沢山やってくれて不思議な気分でした。あの曲のあのリフ!って何度もなった。ギター界の中で一番柔らかいアルペジオ。思い出しただけで泣ける。

アメフトが終わってそのままさらに前に詰めてデスキャブ待機。台風きてるな...って分かるくらいの雨。寒すぎる。土砂降りの中多くの人が微動だにせずデスキャブを待っていた。途中、予定より15分早めて開始するとアナウンス。ありがとう。全然待てる。準備を終えたスタッフが捌けていく。ついに始まる。Death Cab For Cutieが。ライブ前あんなにドキドキしたのはいつ以来やろう...。颯爽とベンが出てきてThank you for todayの一曲目が始まってから最後のTransatlanticismまで一瞬の出来事すぎたよ。今年デスキャブで一番聴いてるNarrow StairsからはLong Division、No Sunlight、I Will Prossess Your Heart、Cath...をやって爆上がりした。あとはKintsugiとPlansからが主に。Plansはちゃんと聴いてなかったのでこれを機に触れることにする。どうせ、良い。クリスが脱退してから色々様変わりしたんやろうなあーって興味を失いかけていたけどライブ見たら全部飛びましたわ。ベンの格好良さよ。なんやあれは。一人で5役くらいこなしてるんじゃないか。サポートから正式加入になった(らしい)2人のプレイも素晴らしいものでした。デイブ(上手のギター)の仕事っぷりには驚きの連続。Cath...においてはクリスを超えたんじゃないかってくらい。音の置き方が逸材すぎた。あっという間の1時間と少しでTransatlanticismが終わってしまった。熱量収まらぬフロアは「So come on, come on」と大合唱するも運営が出てきて「雨がやばすぎてもう帰れなくなるから今すぐゲートまで行ってくれ。悪い。」とアナウンス。どうやらホワイトとグリーンを結ぶ橋の下に流れる川が氾濫寸前みたい。そりゃまずい。そんな中でデスキャブをギリギリまで見せてくれてありがとう。普通のイベントならもうアメフトの時点で公演中止になっててもおかしくなかったよな。フジロックの強さというか、オーディエンスの強靭過ぎる精神を身をもって知ったよ。

デスキャブを見たというあまりに非現実的過ぎる事実を抱えながら崩壊寸前の山道を大渋滞の中歩いてキャンプサイトまで。まるで移民。多幸感ってあのことだと思う。家に帰らず、テントでじっくり余韻浸りながら眠ることができる幸せ。ともいかずマジで雨がやばくなっていく。なんとかテントに辿り着いた時には全身絞れるくらいにびしょ濡れ。服と長靴を脱ぎ捨ててテントに入り濡れたまま寝袋に包まる。流石に寒くて中々眠れなかったけど面白かったな。ここまでくれば何でも面白くなるもんで、どうにでもなるし、する。マジでサバイバル。フジロック。今朝固定のペグを増やしてピンと張ったおかげか浸水はせず。テントに打ち付ける雨の音がどんどん大きくなっていく。雨音の隙間から微かに聴こえるレッドマーキーの音を聴きながら眠った。

 

3日目

11時頃、暑さで起きる。見事な快晴。台風を乗り切った。裸足のまま外に出て気持ちいい風の中煙草を吸えるのも今日が最後。周りのキャンパーたちは美味しそうな朝御飯をこしらえて食べていた。毎日こんな朝を迎えたい。本当に。ようやく慣れてきたテント生活を名残惜しみながら寝袋を畳んだり、昨日の長靴に溜まった水を抜いたりして下山。テントと寝袋達、椅子、その他諸々を一気に持って麓まで。通路にはまだ水が流れ続けていたと思う。泥濘みも増えていた。でも打ち負けたテントはほとんどなかったんじゃないかな。フジキャンパー達の強靭過ぎる精神には驚かされるばかり。なんとか車までキャンプ用具を運んで、ここでやっと風呂に入りにいった。停めていた第二駐車場から歩いて近くの雪ささの湯。ほぼ丸2日ぶりの風呂。身体を洗って湯船に浸かることの大切さを身をもって知る...。全回復して、アイスクリームの自販機でバニラモナカとチョコモナカを食べた時の気持ち良さ。スイミングの帰りを思い出したよ。3日目を遊ぶ準備がようやく整ったので会場入り。写真を見るとこの時点で17時。どんだけゆっくり過ごしてたのか...。

遅すぎるお昼ご飯を食べるためにorangeへ。「新潟あさごはん」で白米に甘辛肉を乗っけたやつを食す。優しすぎる。フジはこういう胃に優しいフードも沢山あって嬉しいもんです。濃いもんばかり食べてたら疲れるし。とは言いつつもその後ヘブンに行ってトマトカレーを食べたけど...。ヘブンはフードとドリンクの品揃えが魅力的で、3日じゃ制覇しきれんかった。カレーとラムが欲しけりゃヘブンへ。

あっという間に日が暮れて19時。ヘブンでそのままtoeを。想像以上に熱量のあるライブでおったまげた。あと音がめちゃくちゃでかい。今まで見たジャズマスの中で一番繊細な音してた。toeが終わる頃にはもう真っ暗でフジの終わりも近い。この辺りから切なさにやられてぼーっとしてた。去年の暮れくらいに知ってからよく聴いていたKHRUANGBINをこれまたヘブンにいたまま見てはいたけど全然入ってこない。とにかく寂しかった。30分ほど見てからグリーンまで移動してThe Cureを見ながらステーキ丼を食べるものやっぱりダメだ。フジロックロスが既に始まっている。ロバートスミスを目の当たりにしたことは流石に「おぉ。」となったが...。

ワイワイとフジを締める気にはなれなかったので20分ほど歩いてまだ足を踏み入れてなかったピラミッドガーデンまでいってみた。そこと駐車場エリアを結ぶ橋を渡っていると急な冷気。気温は15度もなかったんじゃないかな。焚火があったりキャンドルで囲んだステージがあったり、とフジの終わりを静かに惜しむ人たちがぽつぽつといる。タイムテーブルより30分ほど遅れた青葉市子でフジを締めることにした。ステージ後方から伸びる青い光に空中の虫が照らされて青葉市子っぽさを助長していて(あの現場にいた人しか理解できないやろうけど...。)、底なしに優しい歌声とガットギターで俺の心は砕けました。帰るのが本当に惜しかった。最後の月の丘が終わって「青葉市子でした。おやすみなさい。」でフジロックおしまい。焚火の前で30分ぐらい余韻に浸ってから苗場を出ました。

 

人生初のフジロック、3日通しでテント泊。想像以上のサバイバルっぷりでした。今思えば2日目に関しては常に極限状態だったんじゃないかってくらいに過酷な中全力で遊んだなあ。三日間大自然の中に飛び込んで50kmくらい歩いたり疲れたら休憩して美味しいご飯食べて美味しい酒を飲み。いい音楽はいい空間の中鳴り続けてるから雨の具合とか体調を超越して遊び尽くせる。異空間であったけど「こう、在ったらいいな。」の理想が形として沢山ありました。見たライブほとんどが「鳴るべき場所で響いてる。」って思えたしそれを見てるオーディエンスの受け取る熱量というか間口の広さが本当にすごい。自然の中にいると不思議と心がオープンになっていくもんで。みんな常にあの感じでいたいよな...。自然災害下にいると生き物としての危機本能が働いたのか、疲れが吹っ飛んで今摂取しないといけないものがなんなのかとかどんどん分かってくるのも面白かった。生きる上での最低限がこんなにも見える?ってくらい見えた。「案外、○○が無くても生きていけるし、○○さえあれば生きていけるもんやな。」と何度思ったことか。

2日目だけ来ていた中学からの友達とデスキャブ後に合流して話していると「なんも対策せずにきてもうた。宿はとってない。フジロック過酷過ぎる。でもSIAが良すぎたからなんとか朝まで頑張れる。」と言ってた。馬鹿すぎる。でもこの言葉にフジは全部詰まってると思うな。想像絶するほどのハードな面はあるけどそんなの簡単にこなせてしまうくらいに鳴ってる音楽が本当にいい。マジでどうしようもないくらいに音楽好きな人はそれだけで大概のことやってのけるパワーあるんやなって改めて実感しました。音楽と生活のバランスを上手いこと取るのって本当に難しいと思う。でもそれさえなんとかしてしまえば人生無限大か。

学生の頃、盤が擦り切れるほど再生した海の向こうの音楽に直接触れることができるのなら台風の雨の中という最悪の環境下でも待ててしまう。あの時間に一切の苦はなかったしむしろ始まってしまうのが惜しいくらいだった。American FootballからDeath Cab For Cutieの完璧すぎる流れと、まるで演出みたいな雨。あの夢見たいな時間は一生忘れたくない。フジロックはそういう神がかった奇跡みたいな瞬間がそれぞれに何パターンもあるんやと思う。大自然、不安定な天気、それぞれの何かが詰まった音楽、非現実的空間の集合体。そりゃ魅了されてしまうよ。

 

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